中堅・中小企業のソフトウェア開発

 −ソフトウエアベンダーの選び方−

取締役社長 小林 敏彦 


 私は、中堅・中小企業様のソフトウェア開発現場に30年近く従事しています。
マネジメントを含めれば80社ぐらい。深く入り込んだお客様は30社ぐらいです。
 お客様の評価は高く、開発で一度も失敗したことはありません。
 私の経験が豊富なのは、国産メーカーでたまたま直接サポート部隊にいたことと、
小さなソフトハウス(40人程度)に勤務していた期間が長かったからでしょう。
本当のSEはなかなか育たないので、役職が上がっても現場で陣頭指揮を取らざるを得なかったからです。

 メーカーや大手SIベンダーにはもちろん優秀な人材が多く入ってきます。
ところが優秀なSEにはめったにお目にかかれません。
 それは、ほとんどのITベンダーが、人月で請け負う人材派遣ビジネスを仕事の中心としているからです。
優秀な人は、売上予算も大きいので、ほぼ間違いなく大企業を担当させられています。
従って、中堅中小企業様を担当するのはそれ以外の社員か、下請け・孫請け企業の派遣社員の人達です。
 メーカーや大手SIベンダーから中堅中小企業様にエース級のSEが来ることは、
まず無いと考えた方が良いでしょう。

 大企業を担当した場合、システムの規模も大きいので1プロジェクトの期間も長く、
なおかつ顧客の信頼も厚いはずですから1社当り4〜5年は張り付いているでしょう。
従ってこれらの優秀な人たちは、30代後半ぐらいの人でもせいぜい4社か5社の経験しかありません。
いよいよこれからという頃には優秀であるがゆえにマネージャーになっており、
現場を離れて部下の管理や外注管理(ピンはね)をしているというのがお決まりのコースです。
しかも経験の多くは金融(銀行・証券・保険)関係や役所関係の仕事です。
そもそも中堅中小企業様の業務そのものを知らない事の方が多いのです。
 こんな状態では、メーカーや大手SIベンダーが中堅・中小企業のソフトウェア開発を行うのは無理と考えたほうが良いでしょう。

 にもかかわらずこれらのメーカーや大手SIベンダーが、大企業に対する人材派遣ビジネスが頭打ちという理由で、
中堅中小企業様からシステム開発を受託しようとします。
 実際、メーカーや大手SIベンダーも何度となくあの手この手でチャレンジしていますが、当然そのたびに大やけどを負っています。
 最も悲惨なケースは、人材派遣ビジネスが中心のソフトハウス(大手であれ中小であれ同じです)が、
突如として中堅・中小企業様からシステムを一括受託した場合です。
 システムの成果ではなく、何ヶ月間仕事をしたからいくら貰うという体質が染み込んでいますので、
人材派遣型ソフトハウスにはシステムの出来不出来は関係有りません。
 システムの出来が悪い方が仕事の期間が長くなり、かえって多くの売上に結びついたりするのです。
 自分たちがトラブルを起こしておいて、その為のフォローに多くの人員を投入したから費用を要求するというような場面を、
私自身が何度となく目にしています。
 特に得意先にメーカ系ソフトハウスや大手ITベンダーがずらりと並んだソフトハウスには要注意です。

 中堅中小企業のシステム開発に手を出して何度も痛い目にあっているベンダーは、
パッケージソフト(現在ではERP。ERPについては特有の多くの問題を持ちますが、ここでは触れません)を押し込む事を考えます。
 コンサルタントという人がやって来て業務分析をするのですが、
初めにパッケージありきですからお客様に最適かどうかなどは考えるはずもありません。

 中堅中小企業のシステム開発は、甘くはありません。
 業務の奥行きは中堅中小企業だからと言って浅いものではありません。
取引先からイレギュラー対応を強要されたりすることも多いので、
かえって大企業よりも複雑な業務プロセスになっていたりしています。
 しかも大企業と比べると、はるかに低額の予算で開発しなければならない困難な仕事なのです。
 もちろんここには大企業に対する人材派遣ビジネスの考え方などは通用するはずもありません。
 中堅中小企業のシステム開発には、多くの実務経験・成功体験とノウハウを持った本当のSEが必要となるのです。

 中堅・中小企業の皆さん、自社には自分たちが苦労して築いてきた強みをお持ちのはずです。
 中堅・中小企業ならではのコア・コンピタンスを創造することもお考えになっておられるでしょう。
 それらを活かして、自社だからこそ出来るITの活用を考えるべきではないでしょうか。
 後は自分たちのビジネスモデルを深く理解し、自分たちが考えたことをいっしょになって
着実に実現してくれる本当のSEを見つければ良いのです。
 私の経験からすると、本当のSEは小さなソフトハウスや、地方のソフトハウスに点在しているようです。

 中堅・中小企業の皆さん、ぜひ本当のSEを見つけ出し、
合理化に役立つあるいは戦略的に優位に立つ為のシステム作りにチャレンジして下さい。


●  システム化構想を相談できるSEがいない。
●  かといってメーカーや大手ベンダーに相談すると高額の見積になってしまう。
●  個人やSOHOにシステムを依頼していたが、信頼性や保守が心配。
●  MS Accessでシステムは作ったけれど、もう限界だ。
●  しっかりとした基幹業務(販売・物流・生産)システムを作りたい。もしくは、作り直したい。
●  現在の自社システムを戦略的に活用したい。
●  パッケージソフトの機能だけでは、仕事が円滑に進まなくなった。
●  パッケージソフトとWEBや外部ソフトとのデーター連携を行いたい。
●  WEBシステムからの受注業務を合理化したい。基幹業務との連携を図りたい。
●  その他、IBMiseries(AS/400)をもっと有効に利用したい。OPEN化したい。


等々のご相談(無料相談・無料見積)は、弊社へご一報を。



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